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HOME > あそばナイト マガジン > にしヤンがいく!夜の突撃体験談
にしヤンの突撃回顧録
死んだヤツは負けだ

映画『麻雀放浪記』の中で、九連宝橙を和了して絶命したデメトクの身ぐるみを剥ぎながら、ドサ健は言った。たとえドブの中ででも、前ノメリに死にたい。これは沖田総士である。そう。人間、負けたらイカン。負けたら次はナイのである。
私、にしヤン、26歳。突撃編集者として1年と6カ月を過ごしてまいりました。座右の銘は、商いは正直に。身体を張らないとちゃっちゃと読み飛ばされてしまうもんなあ。かくしてノーガードで中央線特快にぶちあたっていくような毎日。い、痛ーーーーっ! 土に戻りかけたことも何度となくありましたが、危機感は人間を鍛えるモンですな。大丈夫だ、ナポレオンのロシア遠征の兵士を思えばこんなモン! 心が強くなり、いまではイザとなったら吉六四だけでもやっていけるくらいの身体になりました。
リッター300メートルの高燃費生活は男を鍛えたとみえて、自分の中に戒律ができました。戒律、それは守らないとブサイクなことになります。別れ話を切り出した女に「最後にもっかい!」とすがりつくのはみっともない。酔っ払いの「これでホントに最後にするから、もう一杯だけ!」はフランスダジャレこきたれるくらい暑苦しいモンです。その時がきたら引き際は美しく。
思えば実にいろんなところに行ったモノです。にしヤン日記を開くと、あの時のことがキラ星のごとく、いや、死兆星が走馬灯のごとく思い出されます。
酒を飲むといえばチェーン系居酒屋しか知らなかったボクが、初めてカウンターに座って飲むことを覚えたのはスナックでした。

スナック、そこは戸川昌子のようなママのいるお店。ママのいう「ウチの女のコ」は40歳を過ぎている。人類っていうよりキノコ類。そんで、カウンターには井崎シュウゴローのようなオヤジが鈴なりになっている。最初はそんなイメージしかなかった。マダム・戸川なパンチなママと仲良くなるのは、バーモント州の臭いスニーカーコンテストくらい無意味と思っていたのですが、どっこい、実際は全然違うのですな。

「あら、にしヤン、いらっしゃい。どうしたの、その顔。ミッドナイトエキスプレスの女囚人モノくらい悲惨なツラ構えよ。はい、ジンロ」
ママは察しがよくて、ハイパー気配りが利く。昔から、ニッポンのおとうさんは、愚痴は奥さんには言わないで、スナックのママに言ってきたんである。
マダム・戸川なのに癒し系。



ある意味、井川遥よりもスゴイ
んですな。
いや、実際はキュートな20代チーママだっていっぱいいるんですけど。スナックのママ、それはトークと気配りで男のハートを鷲掴み。


くれ。その板ワサをちっとくれ

客同士の敷居が異様に低いのもスナックである。煮えまくってカラむヤツ。ここはコネチカット州だと言い張るヤツ。その寂しい背中が光を吸い込み始め、ブラックホールになっているおっさん。まさに夜の民ですが、そんな連中が気配もなく擦り寄ってくる。ゴルゴ13だったら1秒も迷わず撃ち殺すくらいの背後に、ぴったりと寄ってくるんである。スリル満点、それはスナック。酒を酌み交わせば心に残るよい話もきけますが、大半は人生に必要ないことをいろいろと教えてくれる連中です。まあ、それが楽しいんですけどね。究極の異文化コミュニケーション、それはスナック。

並み居る妖怪に憶せず、腰に手をあててジンロを一気飲みできるようになれば一人前です。


にしヤン日記
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