それは上野のキャバクラでの一幕だった。ショーウインドのトランペットが欲しい黒人の男の子のようにキラキラした目でM子さんは言うのでした。
「M子ねー、今週末友だちとクラブいくのー。大騒ぎしちゃうんだー、楽しみー!」
「クラブで大騒ぎゆうと、アレですか、店の女のコあげて王様ゲームで乳首当てですな。アレがシングルCDくらいある女子は、いっつも当てられちゃうんだよねー。そんでわー負けちゃったーっとかいいながらシャンパン飲んで大騒ぎ……」
「いや、そのクラブじゃなくてね……」
「え。じゃあアレだ、チャー・シュー・メーン! 言って振り回す……」
「それはゴルフのクラブ」
「ハサミがちょっきんなの赤くて美味い……」
「そりゃレッドクラブ」
M子さんはタメ息の長いのをつきながら、ボクの頭を撫で撫でして、別の席に立っていったのでした。 いや、私・にしヤンだって薄々わかってはいたのです。若者の言うクラブ、それはママがドンペリあけたくてウズウズしている銀座の店ではなく、ダンスフロアのあるお店。大音量でソウルやヒップホップやハウスがかかる店。お立ち台の上でフィーバーして、わっしょい!わっしょい! みこしも出ます(たぶん)。一度も行ったことないんでテキトーですけどな。
ギャルと話をしてるとよく話題になる『クラブ』。知らないっていうと「あら、おとうさんね」って顔される。クラブ、むごし。てやんでぃ! そんなガキの遊びなんぞやってられるけぃ!てぃてぃ!と江戸っ子してしまうと、双方歩みよることはナイ。にくいクラブですが、今後のスナック&キャバ人生を円滑にするために、一度行ってみないとダメですわな……。
僕は腰のガンベルトに入れたケータイをスチャ!と取り出すと、アタタタタ、アチョーッ! 目にも止まらぬ早撃ちガンマンでメールを打った。送信先は80年代にはナウでヤングだった先輩ライターのM島氏。メーデー、メーデー。クラブに潜入、応援請う。
返信はソッコーだった。
『クラブでモテる方法。ほ、ほう。なかなかシャラクサイことを考えているね。若者はそのくらい血気盛んでちょうどイイよ。よろしい。ダンスフロアのデビッド・カッパーフィールドと呼ばれたこのボクのいうことを聞けば、ナンパなんぞ簡単だよ。一人二人じゃないよ、トン(単位ね)釣れるよ、トン!』
……ホンマかよ。
さあ、クラブにいざ潜入!! |