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HOME > あそばナイト マガジン > にしヤンがいく!夜の突撃体験談
「若者の聖地」クラブを初体験!
 おおー! まわってる、まわってる!!
 

混み合うダンスホールクラブのダンスホール。そこは祈りの祭壇だった。
真っ暗な空間に大音量の音楽が流れ、人が満員電車くらいゴッタ煮になっている。跳びはねるヤツ。もがくヤツ。イッてしまうヤツ。ひときわ目立つ、ギャル・オン・お立ち台。肌露出88%のギャルがぐいんぐいん、腰を回してます。いまは夜中の2時過ぎなのに、よいさ! よいさ! 三社祭も真っ青の盛り上がり。信じられない光景が繰り広げられていたのです。

 
 歌え! 踊れ!! 嗅が猿君
 
フロアは混み混みあまりの衝撃にしばらく突かれたダンゴ虫みたいに丸まっていましたが、このままじゃラチがあきません。ちょ、ちょっと若モンに混ざってみようかな……。恐る恐るフロアにつま先を付けた途端。往年の名曲『ザッツ・ザ・ウェイ』がかかる! ギャーッ! 悲鳴と同時にフロアになだれこむ客たち! にしヤン、もちょっと助走をつけて馴染みたかったのに、ギャル集団に突進されて、いきなりフロアの中央! 他力本願の強制移動でまんまとクラブデビュー! ♪♪♪ザッツ・ザ・ウェイ、アハ! ギャーッ(歓声)♪♪♪ アイ・ライク・イット、アハ! ギャギャーッ(歓声)♪♪♪ モノスゴイ盛り上がりです。
おまけに暗い中でフラッシュの目つぶし。レーザービームで顔に線を描かれた上に、ドライアイスのスモークで鼻をヤラれる。見猿聞か猿嗅が猿になった中で、ギャルも若ゾウもジーサンも(店に白髪のジーサンひとり、発見)、あらさ! こらさ! よっこいさ! もう踊ってるというより、祈りの儀式、ゾンビの集会場なんである。バターになりそうなくらい、全員がもみくちゃなんである。
 
 イェーイ!!
 
ごきげんな女の子しかしなんというか……10分くらい揉まれていると、イイ具合に脳みそがシビレてくる。なんだか気持ちいくなってきた。ひゃっほーう! お立ち台のギャルにワイルドピッチな合図を送ると、イェーイ!! 悪球もジャストミートで打ち返す。ボクはクラブ初体験にして早くもごきげんな病気になっていた。フロア全体に仲間意識が充満していて、みんなで揃って身体を動かすのは悪くないモンですな……。
 
 動くものに飛び付くべし。べーし!
 
30分ばかりギャルたちと生肌を触れ合わせた後、壁際に撤退。目を凝らして観察すると、壮絶なナンパが行われている模様。この暗いのに、どうやって相手を選んでるのか不思議じゃのう……。隣にいたニイサンに聞いてみる。
「ナンパのコツ? そうよのう。動くものに飛び付く」
好みまるでノーな行為だった。いっそセレナーデである。
「まあ、アレだな。暗くてお互い顔わからないから、闇鍋みたいなモンだな。一杯飲ませて10分くらい自己紹介して、後は踊ってりゃ仲よくなるって。面倒くさかったら、盛り上がる曲のときに後ろから腕回して一緒に踊ろっていえばいいよ。いきなり張り倒されることはまずナイ。もし張り倒されたら、痛い」
ある意味、ピュアで贅肉のとれたトークでいけるらしいのだった。それにしてもスゴイのう。仮に街で信号待ちしている女子に抱きつくとどーなるか。市中引き回しの上、打ち首。そんでパトカーの助手席。クラブって素晴らしい、ブラボー。
 
 あにょにょにょにょにょにょ
 
にしヤン、ナンパするよーし。オレもやる。ナンパやる。
僕「あ、あの」
女「え?」
僕「えっとええっと。あ、あにょー」
女「何? うるさくて聞こえなーい」
僕「あ、あにょー、あにょにょー、あにょにょにょにょにょ」
女「よく聞こえないけど、ビールおごって! 喉乾いちゃった」
……緊張のあまり、舌が回ってないかかわらず、ゲット。普通、噛んでしまったら軽べつと無視が同時にやってくるのにのう。
 
 タカられたか!? しかし次こそは!
 
おごりのビールを買いに僕はカウンターに走っていって缶ビールを買うと(600円)、彼女の待つ席に戻った。
「マジでおごってくれるの。ありがとー、んぐんぐ、ぷはーっ!」
僕の手からマッハでビールを奪う。杯を口から迎えに行く酒好きだった。彼女は10分ほど話すと「踊ってくる。じゃ!」まんまとビールをタカられただけって気がせんでもないけど……この分なら知り合いをつくるのは苦労しなそうだぞ。さっきから隣のおにいさんなどは20連チャンしてるし……そのビッグウェイブが次こそこのボクに!
 
 おとうさんねー……
 

クラブで成長したにしヤン僕はイヤイヤしたらひっぱたく勢いでナンパを継続。
「こんばんは! どこから来たのー?」
「うーんとね、横浜。あなたは? この店好きなんだ?」
「この店っていうか、おとーさんはギャルをだまくらかしに……」
「きゃーっ、おとうさん、ギャルだませるといいねーっ」
……人間なにごとも経験ですな。声をかけるうち、僕もだんだんこなれてきた。ギャルどもはナンパ慣れしてるっつーか、度胸だして声さえかければ気軽に話ができるんだけど、全然ムーディじゃない。まっことお友だち感覚。最初は美人狙いだったけど、疲れ果てて自ら交番に出頭するように、ブスにも声をかけてみる。お話して、飲んで、ズンドコズンドコ、あ、ホレホレして、バイバイして、また次にいく。楽しいような無駄なような、ああ、これぞクラブの輪廻転生。

 
 ビール6負、いや、6杯
 

2時間が過ぎるころ。フロアの隅で疲労コンパイしていると、ナンパのアドバイスをしてくれたおにいさんに再び遭遇。
「同志よ、収穫は?」
「うむ。今日のところはおごったビール6負、間違えた、6杯。今日はもうこのへんでカンベンしといたろ思うんですわ」
時間はすでに朝の5時だった。ナンパで意気投合して、ムチャしてるカップルがあちこちに出来てるなか、初陣のボクは撤退をきめた。若モンにしかできない遊びってわかっただけで、収穫なのでありました。今日はチャンスなかったけど、この次はひいひいゆわせちゃるぞお!

 
 なんと爽やかな朝!!
 

クロークで上着と荷物を受け取って、外にでる時、ビールをおごったギャルと目があった。バイバイで手を降ると、彼女もバイバイ。「来週もくるよねー?」。男としては認められなかったみたいだけど、しっかりお知り合いになれてた。
なんだか嬉しくなって、一緒に店を出た同志にそっと声をかける。
「ああ、爽やかな夜明けですこと」
「ええ、ほんに」。
心が若返ったにしヤン、来週末こそクラブでなにかしでかしちゃると、高校球児の選手宣誓のように心に誓ったのでした。

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