| いきなり、リーチ! |
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順番待ちの同志たちは少しづつ入店していき、マッキーズが入れたのは21時すこし前だった。通路を歩きながら店内を観察する。大きめの箱は大盛況で、男どもがゴッタ煮になっている。
まだ席についていないうちにK田が叫んだ。 「ニシヤンくん、リーチ!」
い、いきなりですか。
「はい」
照明を落とした店内にまだ慣れない目を凝らして、キャバ女子の姿を追う。おおー。弱ったカナブンみたいな娘ばっかりかと思ったがどっこい。お宝のオオクワガタがあちこちに。なんていうかこう、思ったより若くて、か、固そうですな……。
「そ、そうですな……」 |
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| 美形のクリスタルビュー |
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席にやってきたのは満里奈さん。丸顔タレ目のオヤジ殺し。K田の横には美形のクリスタルビュー。さっぱりなのにコクがある実にエクセレントな組み合わせ。僕らは一気に満潮になった。心のテトラポットに波しぶきがはじけた。
K田は舞い上がって妙な声をあげている。
「ボ、ボキはね、西麻布の小林アキラと呼ばれた男なんだよ、うひょひょ。燃える男の赤いトラクターって知ってる? うひょひょうひょひょ」。
いくらなんでもテンション高すぎてます。 |
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| すごい、画期的なシステム? |
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それにしても……通常のキャバクラよりちょっと平均年令が若いと思われる。中にはエンゲル係数の高そうなヤツもいますな……。なぜだろうなぜかしら。
「ここは料金が良心的だから若いサラリーマンも遊びに来るの。客層が若いと働く女のコたちにとってもジェネレーションギャップが少なくいから会話が楽なんだよ。ちょっとくらい時給が安くても、気難しいオジサンを相手するよりイイってコが少なくないんだよー」と満里奈さん。
女子のレベルが落ちない理由はそんなところにあるらしい。 |
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| マッキーズの合体攻撃 |
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10分ばかり話をすると、満里奈さんは別の席に立っていった。
おや、目に涙なんかためてK田くん。挙動も不審ですが、どうしたんですか。
「僕の人生にはずえったい縁がないと思っていたコンサバ巻き毛が、たった1,000円で隣に座ってきたよおぉぉぉぉぉぉ!」
情けないのう……たかが巻き毛くらいで、うおーっ! あ、あなだばーっ! なぜにFカップなのでずがーっ! バフーっ!!
たった1000円でも女のコのチェンジきっちり。まるでCR確変激連チャンしたようなだしっぷりなのです。それなら、こちとらもそれなりの用意はあります。遠慮なくマッキーズの合体攻撃。いかせていただきます!
うひょひょ、うひょひょ
ばふっ! ばふっ!
抑えようもなく、トーンを落とした店内に響く面妖なサウンド。我ながらちょっと恥ずかしい必殺技ですな……。
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| 私の一杯払っていただけます? |
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女子は入れ代わり立ち代わりくるのですが、どのコもドリンクの要求もしないんですな……。これはスゴイことです。
実は経験があるのです。マッキーズが基本料金2,500円にひかれて入ったある繁華街での一幕。
エエ具合に会話も盛り上がっているうちに、キャバ女子が切り出します。
「それでね、にしヤンさん、私も一杯もらっていいかしら。なんだか酔いたくなっちゃった」
お酒のおねだり。もちろん女子の飲む酒は客持ち。いわば元祖デート商法。ドリンクっていくらなんだろ……?
うひょうひょ言ってたK田が口をはさんだ。
「一杯の酒も馳走できんとは何ごとぞー、ちゅうやー!」
本名をでかい声で叫ぶなつーの。わかったよ、もちろん、オッケーだよセニョリータ。
「そう? すみませーん! 私にウーロン茶ーっ!」
手をあげてオーダーする女子の声に、ボーイさんがマッハで持ってきたのはジンジャーエールだった。酔いたいってソフトドリンクじゃん……。その後も女子が入れ替わるたびにドリンクを要求され、そのたびにボーイがマッハ。気がついたら1時間で5杯の多量痛打。ドリンク1杯2,000円で、計1万円になり、基本料金やらサービス料やらで請求金額は1万6,000円だった。お勉強させていただいたあの日はロングロングアゴー。ってやっぱり最近の話なんですけどな。
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