| とある事務所の一室。ここに来るのです。神奈川地区代表ナンバーワン。免許証くらいの大きさの写真で読者にクリックを連打させる、アリの巣コロリくらいイチコロなオンナのコが、しかも二人も! |
| もはやビビっていても始まりません。夢は大きく連チャン狙い。デッカイ魚釣って世間をひーひーゆわせてやるぞお! |
「こんばんは」 |
| 勝利の妄想にひたっていると、白地にブルーの花柄ドレスが鼻先をかすめました。現れたのは千里子系のスッキリフェイス。正直、マブです。カルピス劇場くらいピュアな映像なのです。 |
「亜沙香です。よろしくお願いします」  |
ほほ笑むアリの巣コロリとフェイス・トゥ・フェイス。ヤバイです。この存在感、5.1chじゃ足りません。早くもテカリ始める汗。シビレる脳みそ。一体、何を話したらイイもんやら……。
あのー。谷啓主演の『バカが戦車でやってくる』って映画観ました? |
「観ません」 |
| ……。あー。うー。その、なんだ。 |
「……お茶でも飲みます?」 |
| 取材対象者に接客されてどうする、俺。おとなしく、ベタに趣味あたりから聞いてみますか。 |
「趣味ね。私、あんまり外で遊んだりしない人だから。休日は部屋でマンガ読んでるなー。『人間交差点』とか『ミナミの帝王』とか『女帝』とかが好き」 |
| その容姿で『人間交差点』ですか。渋いですなあ。 |
「外見と内面がずいぶん違うってよく言われます」 |
| 実は中から謎の物体エックスがシャーッと出てくるとか。 |
「出てきません」
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| すみません、ちょっと壁に頭ぶつけていいですか。 |
「はい、どうぞ」 |
| はー、サッパリした。じゃ、次。好きな男のタイプ。 |
「コメカミから血が吹き出してますけど、平気? ワタシねー、優柔不断だから、守ってくれるタイプの人がいいな。それでオーラがあって信頼できる人(眼が夢見る乙女)」 |
| それ! わっしょい! わっしょい! |
「大丈夫ですか? ちょっと首締めてみましょうか?」 |
| すみません、自分と全然違う男がタイプだったモンで、つい。 |
「理想はただの理想よ。誰かに影響を受けたら変わると思うし。お店にくるお客さんにも影響受けたりするよ」 |
| うーむ。またも上手にフォローされてしまった。しかも男ゴコロくすぐるキュートなセリフ。たしかにバリー・ボンズ級よのう。キレイな質問ばっかり投げてたら手玉にとられてしまうぞ……。 |
「にしヤンさんったっけ。ごめんね、私、人見知りだから、上手にしゃべれなくて」 |
ナイスなタイムで発してしまう好かんたらしいこの一言。もう覚悟を決めました。こちとら腕と度胸を貸してシノギを削る鉄砲玉みたいなモンでございます。偏差値氷点下40度の質問。イカせていただきます!
亜沙香さん!! |
「はい?」 |
| にゅ! にゅー。とーの、ぃ、ぃろは!? |
「ニュートン? ああ、力の単位ね。1ニュートンは質量1キログラムの物体に作用して、1メートル毎秒の加速度を生じさせる力よ」 |
| ……す。すごい物知りだなあ、って違う。ソレってほんとに聞き違い? それとも、危険なシケインをかわすシューマッハのような神のコーナリング? |
「わたしねー、天然ボケなのー」  |
無邪気に笑う亜沙香さん。
まき散らされるクリスタルなオーラににしヤン、いつの間にか放出。ナンバーワンの奥の奥を探れず、惨敗のにしヤン。 |
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