4月某日     |
師匠の教えを胸に、やってきたのは歌舞伎町でも名の高い『CLUB
MAX』。その高級感溢れる店構え、にしヤン、扉の前で早くも身分不相応を悟る。
「いらっしゃいませ」出迎えの黒服にビビったので、心の中の横山やすしでメンチを切りました。「おう、ワシや! ナンボのモンやねん! 所詮、小娘やっちゅーねん、ショーミな話が!」 黒いソファに腰を降ろし、目をあげると、早くも女のコが! 「こんばんは。堂本乃愛です」 イ、イカン。にしヤン殺しのネコ系フェイス。
大人っぺー白ドレスで横に座ってくるのです。我慢していたのにふーん、んふーん、バフっと鼻が鳴りました。戦わずして負けそうですが、頑張って虎の巻を敢行する。待ってろよ、その7が終わるとき! おまえはもう死んでいる。その1!「長めに相手の目を見つめる!」20センチの至近距離でジ〜ッ。すると乃愛さん、視線をそらすことなく、ネコの瞳でジ〜ッ。ジ〜ッ。ジ〜ッ。鼻がバフバフバフッ。はあはあ。過呼吸になってきた……。 |
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「私は普段からお客さんとは視線を合わせるなあ。初対面でも全然平気。たいていのお客さんはテレるけどね」。
乃愛さん、自然体でコープランド&ルイスをやっている。手強い。「このお店初めてだよね。お仕事は何しているんですか?」。
キャバ歴3カ月にしてこの自然なトーク。虎の巻1、完敗。ではその2!「決断は素早く!」「乃愛さん! 僕のドリンクはウイスキーロックで!オス!」ここはハウスボトルだからウイスキーのみ放題だよ。はい、注いであげる」 |
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虎の巻2、ソッコー完敗! 次!その3!
「二人だけの小さな世界を共有する!」
シブメにヤニをくわえ、かましてみました。「乃愛さん、実は俺……CIAの特殊諜報員でコードネームはアルカトラズ。編集者は世をしのぶ仮の姿なんだよ……(ふっ)」。
すると乃愛さん、「あら、マイケルジャクソン並みの真実があるのね。はい、乾杯ーい!」。軽くいなされて完敗。ああ。祇園精舎の鐘の音がきこえる。
気がつくと向かいの客が楽しそうに話している。にくい。が、頑張って後を続ける。
虎の巻その4と5!ダブル攻撃! 「彼女の体に目を走らせる!」「女性的魅力を褒める!」って、おおっ! も、もしかして乃愛さん、巨乳!?「ん? 普段は教えないけど、特別に教えてあげるね。Dカップだよ」
ででででで、でーカップってキミ! でーカップったら8本折って倍まん! 割れ目で3万2000点くらいですよ! 素晴らしい! 素晴らしすぎてます! イ、イカン、褒めるつもりが完全に舞い上がってる。手に書いた“キャバ嬢”という文字を飲み込んで、負けずに次! 「力強さを感じさせる!」 よっしゃ!乃愛さん、見て! このカーブ! 草野球で松坂なみの150K! |
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「あら、そうなの? スポーツやってる人ってやっぱり体格イイよね。このお店にもときどきプロ選手がきたりするわよ」僕の投げた渾身のストレートをシバキ返す乃愛さん。
いわゆるひとつのストラック・アウトです。僕は弱ったひよこのように返事をし……次! 虎の巻その7、はもうねえじゃん! これで終わりか、師匠!? この後はどうすりゃイイんだ!? |
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