
晴れてホリプロ預かりになったキッドカットですけども、いきなり爆発ってこともないのがこの世界ですよね?
「その通りですね。やはりホリプロ上層部の人間がお笑いを認めていなかったこともあって、ホリプロ主催という形でライブが始まるのは、あのエイプリルフールから数えて2年後ですからね」
2年ですか! それまで毎週ネタ見せだったんですか?
「そうですね」
「いや、もうホリプロから声がかかったというだけで嬉しくて嬉しくて、2年なんてあっという間でしたよ。ホリプロ預かりの仲間もドンドンと増えてきて、例えばまだ3人組だったバカルディー(現・さまぁ〜ず)だとか、ダチョウ倶楽部の上島竜平さんの奥さんの広川ひかるさんとか、楽しかったですね!」
ホリプロのお笑いを作るというか、まさに開拓者的な感じですもんね
「そうですね。もうあれから19年、さまぁ〜ずも18年。ほんと、よく残ってるなぁと。平成元年のホリプロライブ第1回から残ってるのは僕とさまぁ〜ずだけですから。年間100組以上辞めていきましたからね」
年間100組以上ですか! キッドカットの状況はどうだったんですか?
「よかったですよ! まぁよかったんですけどねぇ・・・・・・。正統派のコントをやってましてね、木曜スペシャルとかで若手40組の中で優勝したり、夕焼けニャンニャンの後番組で5週勝ち抜きして初代王者になったり、レギュラーも決まりだして『オレたちきてるのかもな、ほんとこれからだな!』ってときに解散ですから」
右肩上がりの状況での解散劇だったんですか! 理由は?
「相方の遅刻癖ですね、クビですよ」
「もう9割5分は遅刻でしたね。例えば夕方5時からの生放送なのに5時に起きたりとか」
「ホリプロって班みたいなのがあるんですけど、同じ班の榊原郁恵さんとか山瀬まみちゃんとかが集結する番組の前説に相方が遅刻したのが決め手でしたね。事務所の人もその日は激高して『今日はお前ひとりでやれ、あいつ(相方)がきても帰すから』って。で、終わってから『あいつはもう帰した。それからこれからのホリプロライブ、出たかったらお前ひとりで出ろ、あいつは出すな』って、それで解散です」
今までふたりでやってきたことをいきなりひとりでやれと言われてもキツイでしょうね。
「まぁ、それはそうなんですけど、やっぱり相方には申し訳なかったですね。彼は結成前はサラリーマンで、それを無理矢理引っ張ったっていう責任もあるし・・・・・・」

まぁなにはともあれそこでピンになったと。そこからイジリー岡田になるわけですか?
「いや、まだ本名でしたね。解散したすぐ後に学研さんの雑誌でデビューしたてのアイドルと対談するコーナーの連載が決まったんですよ。僕はホリプロのアイドルイベントで司会とかやったり、集まってくるファンともステージ上から話したりしてたもんですから、うってつけのコーナーだったんです。あの手のファンをいじるのに慣れてましたから。で、解散したし、何かペンネームをつけようということになって、岡田君は客いじりがうまいからペンネームはイジリー岡田で、コーナーのタイトルは『イジリー岡田のアイドルいじり』でいこうとなったんですよ」
「そうなんです。でも、そのコーナーの人気が上がりに上がってきてですね、事務所の人間も『それだけ人気があるならイジリー岡田って芸名もありだろ』みたいな空気になり始めて(苦笑)」
「嫌に決まってるじゃないですか! あの日のことは今でも鮮明に覚えてますよ。夜の12時ごろに事務所の中でどちらかというと怖い部類に入る人から電話がきてですね、開口一番『明日からお前はイジリー岡田だ。問題ないよな?』って・・・・・・。問題大ありですよ! でも、怖いんで『問題ないです』って即答しちゃって、その日からイジリー岡田ですよ」
そして「客いじりがうまい」ということでついたイジリーという文言が、あの伝説番組の影響で間違った方向に走り始めるんですね。
「ギルガメッシュナイトでブレーキがブチ壊れたかのように爆走しちゃうんですよねぇ。あの頃、まだギルガメが始まる数週間前、「イジリー岡田って芸名になりました」と郁恵さんと吉村明宏さんを司会に金屏風の前で『改名・イジリー岡田』って改名式もやっていただいて、朝の連続ドラマの、しかも主要レギュラーの役をもらって、役の上でですけど白石まるみさんと結婚したりして、しかも高視聴率で、もうまさに『イジリー岡田、これからいくぞ!』っていう流れを感じてたわけですよ」
「当時のマネージャーがですね『ゴールデンを目指すために深夜で場慣れしなきゃダメです』って、とにかく深夜の仕事を取ってくるって鼻息が荒くてですね。で、そのマネージャーから「テレビ東京の深夜レギュラー、決まりました、おめでとう!」って。僕も喜びましたよ。深夜といえどもレギュラーですからね。でも、自分の役割を聞いて驚きましたけど(苦笑)」
最初は情報番組色が強かった番組でしたけど、イジリーさんのコーナーだけは最初から直球ど真ん中のエロコーナー。
「AV女優お宅訪問ですからね(苦笑)マネージャーも3ヶ月くらいで終わる番組だから頑張って欲しいって言われて・・・・・・。どれだけ頑張って取ってきてくれた仕事だってのはわかるし『とりあえず3ヶ月、一生懸命頑張ろう!』って。で、3ヵ月後には日本一のエロタレント誕生ですよ」
あははははは! 欽ちゃんをリスペクトする正統派芸人が。
「そもそも下ネタとか大嫌いだったし、後輩にも『下ネタとか、裸になって笑いを取るのは卑怯だ! オレは一生下ネタなんて認めないし、やらない!』とか豪語してたのに」
ギルガメでのイジリーさんはどこからどう見てもエロ大爆発でしたもんね!
「『AV女優さんの部屋をどんどん荒らしてください』って言われてね、タンスとか棚とかを片っ端から荒らして、下着を見つけては顔に持っていきながら『エヘヘ〜』ですよ。『オレ、どんどん汚れてってるな』って・・・・・・でも、これが皮肉なことに深夜では考えられない数字を出してですね、イジリー岡田って名前は完璧なエロ芸人として定着していきましたね」
「『もうすぐ終わるんだ』って思って頑張ってたら6年半続きましたからね(苦笑)」