
●銀座の高級クラブは男を磨く場所
出鼻をくじくようで悪いんだけど、僕ね、世間で思われているようなプレイボーイじゃないんですよ。片っ端から“芽”を摘んでゆくみたいなのがプレイボーイだとしたら、そういうの野暮だと思ってるしね。そもそも、そんなことしてたらカラダがもちませんて(笑)。ただね、銀座とかの夜の街の女の子に慕われるようには努めてはいるな。これ、僕の男としての誇り。
僕は古くさい考え方をもっていて、銀座の高級クラブとかって男を磨くところだと思っているんです。気に入った女の子とウィットに富んだ会話をしつつ、ひょっとしたらできるかもっていう期待を膨らませ、だけど、それをギリギリのところで留める…みたいな修行をするところ。そう、男は、がっついたらあきません。
アフターとかでもね、「みんなでカラオケでも行こうや」ってやるな。一人のお気に入りの女の子だけを連れだすんじゃなくて、みんなを誘う。そうすると、その子も変な警戒しないでついて来れるじゃないですか。しかも、普段からなかなかアフターの誘いがかからない女の子まで楽しませてあげることができるから、自然と「山城さんってやさしいのね」ってなる。そういうことをつづけていると、だいたいお気に入りの女の子とはいいお友だち関係になれますよ。
まあ、モノにするにせよ、友だちになるにせよ、口説いたらあかん、口説いたら。じーっと待っているとね、むこうは、そのヒトのやさしさに惚れてきよる。「100万円やるからついて来い」みたいなのは粋じゃない。女性を侮辱している。そりゃ金になびく女もいるだろうけど、そんなのはいい男と女の関係とはいえないでしょ。なかにはね、たった一輪の花で泣く可愛い女の子がいるんですから…。そういう子にね、やさしくしていると、ぜったいに後々どっかでもっとやさしい思いを返してくれるもんです。
●京都の祇園は、いまでも圧倒的に粋である
そんなこんなで、銀座、通いつづけていますね。ただ、最近はちょっと不満もあるんですよ。そりゃ元ミスなんとかとか、キレイな子はいます。でもね、洒落た会話ができる子が少なくなっちゃった。不況のせいか、借金の話とか下世話な会話をするやつも増えたしね。
その点、京都の祇園はいまでも圧倒的に粋だな。あそこのお茶屋さんにはね、賢い芸者いっぱいいますよ。英語ペラペラだったり、シェイクスピアを論じるやつだっている。日頃から三味線や踊りといった歌舞音曲の稽古をしっかりしているうえで、お客さんとちゃんと話ができるように、文学から流行までちゃんと勉強している。
祇園って伝統を大切にしているから、一見古くさいところに感じられるだろうけど、中身は常に新しい。
あのね、銀座の一流クラブのママたちが、お客さんで一番マークするのって、じつは祇園の女将だったりするんですよ。自分たちも一流で突っ張っているわけだから、祇園という超一流ブランドに対しては、すごいライバル心がある。あそこの女たちには、ぜったいバカにされたくないっていう意地があるんですね。でもね、古の都・京都の貫禄にはどうしてもやられてしまうんですよ、これが。京都の女も誇り高くて、わりと意地悪だったりするし。…たとえばね、京都の女たち、銀座のクラブで小一時間ほど飲んだら「お供よんでおくれやす」っていうの。クルマ呼んでくれって。そうすると銀座側は「すぐに白、呼びます」って、契約している白タクをいつも以上に早く用意する。僕から見ても手抜かりはない。ところが京都の女は、「白タクなんて気持ち悪いのいやや」とか「もう、遅いお供やな。あか抜けないんやなぁ。うちら電話かけたら1分後に来てますのに」とかいいはじめる。それでもって最後には「なんや、こんなもん。こんな程度で一流?」って、はっきりイヤミいうからね。そうなると銀座のママも青菜に塩、へなへなになる(笑)。
先斗町とか祇園とかのお茶屋さんっていうと、みんな高いお金を払って遊ぶというイメージがあるらしいね。だけど、あれだもん、銀座より安いよ。銀座じゃ国産のボトルでも入れたら10数万軽くいっちゃたりして、「たかだか1時間くらい飲んで、どうしてこんな勘定になるの?」って驚くことあるけど、祇園だったら、芸子さんとわーわーやりながら、自分のペースで好きな焼酎でも飲んでいれば数万円ですむ。優雅にお座敷で数時間、一流の芸を楽しんで、ゆたかな会話をしてこれですから、断然価値がある。
もちろん、昔の勝新太郎さんとか芦屋錦之助さんみたいな豪勢な遊び方すると、翌月に請求書が来たときにはびっくりすることになるけどね。
そう、そう、あそこでは遊んでいるときに財布から現金をだすことはないの。チップもださない。だいたい1ヵ月半後くらいに、タクシー代からなにから一切合切こみこみの請求書が舞い込んでくるっていう仕組み。こんな時代だから、お茶屋さんだってその場で現金がほしいところだろうけれど、そんなそぶりは頑なに見せないですねぇ。
だからお客さんもね、銀座みたいに、札びらきって派手にブランデー並べるような遊びをするヒトはいないなあ。そんなことしたら、逆にバカにされますよ。ちゃんと粋に遊んでいれば、ちゃんと粋にあつかってくれる。たまに、バーとかに芸子さんと飲みに行ったりするじゃないですか、そんなときにさり気なく「今日は私に払わせておくれやす、お兄さん」なんていってくれたりする。もちろん、その間も芸子さんの玉代(ぎょくだい)はついているんですけどね、なかなかいいもんですよ、こういうの。
あっ、ちなみにね、彼女ら男性のことは“お兄さん”と呼ぶ。60才すぎても“お兄さん”。“お父さん”っていうときは、相手は社長さんとかやね。
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