
●酒場のケンカは、逃げ足と気迫で乗り切った
映画スターだからっていうことで、酒場でからまれることもしょっちゅうありましたよ。ロケ先の飲み屋で、3人ぐらいのチンピラに「てめえらスターだと思って好き放題やりやがって」ってからまれて、3人だったら平気かなと思って「よーし、オモテにでろ」なんて啖呵きって外に出たら、相手が10人ぐらいにふくれあがっていて慌てて逃げたなんてこともありました(笑)。
ピストルをね、突きつけられたこともあるんですよ。日活入って数年しか経っていないとき。ある日映画の関係者とバーに飲みに行ったんですけど、東京のある有名なそっち関係の人がその店にいましてね、例によって挨拶しなくちゃいけない状況になってしまった。渋々行きましたよ。そしたら、いきなり「おまえギャラいくらだ」って聞いてきた。僕は「5万円です」って答えた…。
「そんな安かねえだろ」
「いや、僕は新人から日活でやっているから、安いんです」
「ふーん、そうか。じゃ5千円毎月ウチの事務所に送れ」
「えっ?」
「お前、新宿、渋谷で遊ぶんだろう? 安全なんだよ、5千円送っときゃ。えっ? 出すのか出さないのか」
「…5万円のうちの5千円は10%ですから、…僕は父や母の面倒も見ていますから」
「出すのか出さねえのか、って聞いてんだよ」
「いや、…出さないです。出したくないです」
…っていうやりとりになった。そうしたら、その、僕が断った途端ですよ、「この野郎!」ってそのナンバー2が立ち上がって僕の腰あたりにピストルを突きつけてきたのは。そして、耳元で「もう一回はっきりいってみろよ」って脅してくるんですね。
そのとき僕は、怒りと恐怖の頂点にいたんですが、妙なことに気持ちは静かでしてね、テーブルに置いてあるビールの小瓶が目に留まった。ああ、この瓶を掴んで相手の顔にぶち込めば、勝てるな、って思った。相手がピストルの引き鉄を引くより速くやれる確信が湧いたんです。こう、ビュッとね(※編集部注:宍戸さん、その動作を目にも留まらぬ速さで披露)。で、まさにそれを実行しようとした瞬間ですよ。突然相手が「出さねえんだな…わかった。からかっただけだよ。心配すんな」ってピストルを引っ込めた。あれ?っていう感じ。まあ、相手も僕の殺気がね、わかったんでしょうねぇ。
んっ、すごい? うん、すごいけれど、もう僕、その途端「はぁ〜」って、脱力(笑)。
酒場の揉め事はね、そんなのも含めていっぱいあったけど、こっちにちゃんとした気迫があると下手な喧嘩には発展しないもんです。相手がボブ・サップみたいな奴で負けるとわかっていても、「倒してやる」っていう気持ちを保っていたら、相手もそうそうは下手に手出ししてきませんから。まあ、最悪のときは、逃げ足が大事ですけどね(笑)。
●酒場で口説いた女で痛い目にあったことゼロ
女の子はよく口説きましたよぉ。僕のスタイルはストレート。飲んでいて気に入った娘がいると、「お願いします」っていうんです。それだけ。ダメっていわれたらもう誘わない。そう、「お願いしますの錠」っていわれてたんだけど、60歳近くまで、六本木のディスコに通って、夜な夜なやってましたね。
僕はね、酒飲みの女の子が好きなんですよ。ノリのいい娘。でも、ただはしゃぐだけじゃダメで、TPOっていうかな、場所柄をわきまえた慎ましやかなところも併せもっていてほしい。遊び方を知っていて、人間そのものもちゃんとしてるっていう感じ。飲みながらね、そういう好みの娘かどうかを見極めるわけですよ。で、ついでに「陰に男はいないかな」とか「病気はもっていないな」とかも嗅ぎわける。
やっぱ目だね。目を見ていりゃわかる。それとしゃべり方。何がポイントかうまくいえないけれど、その二つに気をつけていれば、そういう類のことは本能的にわかりますよ。だから、僕、いままで美人局(つつもたせ)に引っかかったこともなけりゃ、下の病気にもかかったことがない。ハハ。だれとはいわないけれど、友だちはいっぱい引っかかっていますから(笑)。
口説いた女の数? うーん、公称1301人! ロケ先の旅館に忍び込んできた女の子とかも入れると、数はもっと多くなるけれど、自分が狙いを定めて落とした数となると、そんな感じですね。もうすぐ僕も70歳になるけど、復活も考えてますよ、ええ。
最近、前立腺肥大って病気が注目されているじゃないですか。あれって、40歳ぐらいからはじまるらしいね。でも、僕、ぜんぜん平気みたい。ビール飲んでても1.5リットルぐらいまではトイレに行かなくても大丈夫だし、トイレに行ったら行ったで、太いおしっこがジャージャーでるしね。みんなも、あそこは大事に使わなきゃダメだよ(笑)。
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最後にカッコいい飲み方について聞きたい? 難しい質問だな。
うーん、やっぱりその場の雰囲気にあった飲み方をすることじゃないですかね。つまり、酒に飲まれないで、そのお店にいるほかのお客さんを含めて人とちゃんとコミュニケーションができることが大切だと思いますよ。
日本人ってパーティが苦手じゃないですか。パーティ会場にいっても自分の知っている人たちと固まって、他の人と交わろうとしない。ああいうのって、カッコ悪い。だから僕はね、パーティに呼ばれると、進んでミキサー役を買ってでて、人と人を合わせるようにしている。この前も、さゆり(吉永さゆり)のパーティでやってきましたよ。昔の日活時代から、僕らはパーティ慣れしてるから、そういうの任せとけっていう感じです。
まっ、なんでも遊びは一回やってみるといいんですよ。何々しちゃいけないって思って、なんにもしないで過ごしていたら、失敗もできないし、そこから学べるはずのものも知らないで終わっちゃうし。だから、カッコいい飲み方もね、遊んでいるうちに自然と身についていくものなんじゃないですかね。 |